ベチバー(Vetiveria zizanioides)は熱帯性のイネ科植物で、その根から採取される精油は香水のベースノートとして広く使われています。産地によって香りの印象が大きく異なり、ハイチ産はスモーキーで土っぽい特性が強く、インド産(ルーウー)はより甘くウッディな印象を持ちます。

ハイチ産ベチバーが特別な理由

ハイチのティビュロン半島の土壌は、ベチバーの根が深く伸びるのに適した条件を持っています。根が深く伸びるほど、スモーキーな成分(ベチベロール、ベチボン)の比率が高くなります。この地域のベチバーは植え付けから18ヶ月後に収穫されますが、土壌の状態によっては24ヶ月まで待つこともあります。Quaint Cedarwoodが使用するベチバーは、農家のクロード・ジャンから直接仕入れています。

蒸留と精油の特性

ベチバーの精油は根を水蒸気蒸留して採取します。蒸留時間は通常24〜36時間で、収率は根の重量の約0.5〜1%です。精油は粘度が高く、暗褐色から琥珀色をしています。この粘度の高さが、香水の中での定着性の高さに直結します。開封直後は土と煙の強い印象ですが、アルコールに希釈すると複雑な木質感が現れます。

「Vétiver Brûlé」の処方について

「Vétiver Brûlé」は、ハイチ産ベチバーのスモーキーな特性を前面に出すために、ガイアックウッドと組み合わせています。ガイアックウッドは南米産の木材から採取される精油で、バラのような甘みとスモーキーさを持ちます。この二つの組み合わせに、微量のタバコの葉のアブソリュートを加えることで、暖炉の前の静けさという処方のテーマを表現しています。

保管と使用上の注意

ベチバーの精油は粘度が高いため、冬季は固まることがあります。使用前に手のひらで温めるか、ぬるま湯に数分浸けることで流動性が戻ります。フレグランスとして製品化された後は、通常の香水と同様の保管方法で問題ありません。直射日光と高温を避け、開封後は半年以内に使い切ることをお勧めします。

ベチバーは、産地と収穫年によって毎年異なる顔を見せる原料です。Quaint Cedarwoodでは、その年ごとの変化を処方に反映させることを、品質管理ではなく調香の一部として捉えています。